
Google が Gemini Enterprise Agent Platform を発表。Cloud Next ’26 のタイミング(2026-04-22)、Google DeepMind 公式 X と Developers Blog から同時アナウンス。Vertex AI を中核にした新しいエージェント基盤という位置付けだ。
結論から言う。企業向けエージェント基盤、第 2 幕が始まった。
プラットフォームの構成要素はシンプル。
Vertex AI は従来「モデル提供と MLOps」の色が強かった。今回の統合で、エージェントを組織的に運用するためのハブに寄せてきた形だ。
DeepMind が発表と同時に強調したのがこれ。
「企業のうち、AI を本番運用にスケールさせているのは 25% だけ」。
残り 75% は、PoC 段階で止まっているか、一部部門の試験運用のまま。実証から本番移行までの溝を、Google が「自分たちの問題」として前景化した構図だ。
要するに、AI が売れないのではなく、本番に載せられないという話。モデルの性能ではなく、運用と統治の不足が律速段階になっている。ここを埋めにきた、という宣言に近い。
Google Developers Blog によれば、Agents CLI は以下を一本化する。
ここがポイントで、これまでエージェント開発は「試作は Jupyter でできるが本番化は別チームの仕事」に陥りやすかった。CLI ひとつで開発から本番まで一直線、という体験は開発者の手数を素直に減らす。
LangChain や CrewAI、Microsoft の AutoGen、最近では Anthropic の Agent SDK。各社がエージェント開発のフレームワークを出してきた中で、Google はクラウドと紐付いた CLI という形で差別化してきた。クラウドの中で完結する方が、企業側の統制は利きやすい。
Google は Model Garden に、自社の Gemini 3.1 Pro と並べてサードパーティモデルを置いた。TechCrunch はこれを「興味深い選択(interesting choice)」と見出しにしている。
普通に考えれば、自社モデルだけで囲い込みたい。しかし Google は複数モデルの選択肢を許した。理由は 2 つ読める。
どちらにせよ、Model Garden を「モデルの中立地帯」に見せかけつつ、実際は Google Cloud の中から離れられない構造に顧客を導く戦略。勝ち筋はある。
この日は OpenAI も ChatGPT 向けに Workspace agents を打ち出している(別記事)。同日の発表が偶然のはずがない。
正直、勝ち負けの軸がズレていると思う。OpenAI は「ChatGPT という既に使われている製品」に足場がある。Google は「企業の既存データと IAM 統合」に足場がある。どちらに寄せるかは顧客側の都合で決まる。
日本企業目線で言うと、既に Google Workspace を使っている組織は Gemini 側に寄せるコストが低い。ChatGPT Enterprise を先に入れた組織は OpenAI 側で統一した方が楽。両方をマルチベンダーで使うケースも増えそうだ。
Google が用意したのは、モデルの性能勝負ではなく、本番運用の摩擦を減らす基盤だ。ここから 2 年、OpenAI・Microsoft・AWS との「企業エージェント基盤」競争が本格化する。
第 2 幕は、モデルで殴り合う時代の終わりを指しているかもしれない。
Google DeepMind(X) — Gemini Enterprise Agent Platform 発表
Google Developers Blog — Agents CLI in Agent Platform
TechCrunch — Google’s new agent-building tool for enterprises