
量子コンピュータの話というと、つい「何量子ビット載ったか」に目が行きがちだ。だが、見落としがちだけど本当に難しいのは、離れた量子マシンをどう“つなぐ”か、という方にある。Duke Quantum Center と IonQ の研究チームが、その配管工事にあたる成果を arXiv のプレプリントで公開した。
内容を一言でいうと、約2メートル離して置いた3台の量子モジュールを光ファイバでつなぎ、3者がもつれ合った状態を遠隔で作ってみせた、というものだ。先に断っておくと、これは査読前のプレプリントで、第三者の検証はこれからの段階にある。
順序立てて説明したい。量子の世界には「もつれ(エンタングルメント)」という現象がある。複数の粒子が、離れていても運命共同体のように連動する状態だ。今回作ったのは、その中でも GHZ 状態と呼ばれる、3者が揃って初めて意味を持つ最大級のもつれにあたる。たとえるなら、3人が同時にコインを投げて、誰がどこにいても必ず3枚とも同じ面が出る——そんな相関を、別々のマシンの間に張った、というイメージだ。
問題はここで、こうした遠隔のもつれは、ずるをすれば見かけ上は作れてしまう。具体的には、うまくいった結果だけを後から選び取る「事後選択」という手心だ。今回の成果が評価できるのは、その事後選択や、局所的な2量子ビットゲートに頼らずに3者もつれを達成した、と報告している点にある。現場目線で言うと、補助輪なしで走った、という主張だ。
数字も見ておきたい。報告された忠実度(狙った状態にどれだけ正確に近いか)は0.841から0.881。1.0が完璧なので、まだ2割近い隔たりがある。生成率は毎秒0.095件、つまり1つ作るのに10秒前後かかる計算だ。実用の通信網として使うには、率も精度もまだ遠い。
ただ、研究の意義は別のところにある。チームは、3者の相関が古典物理では説明できないことを示す Mermin 不等式という基準を破った、としている。専門的に聞こえるが、要は「これは偶然の一致ではなく、本物の量子的なつながりだ」と裏付ける検証を通した、ということだ。ここを押さえている点は、技術的に手堅い。
なぜこれが大事なのか。1台の量子コンピュータに載せられる量子ビットの数には、物理的な壁がある。そこで現実解として語られているのが、小さなマシンを多数つないで1つの大きな計算機として動かす「分散量子計算」や、量子の性質を使った盗聴に強い通信網だ。今回の3ノードでの遠隔もつれは、その配線図の一区画を実機で引いてみせた、と位置づけられる。
日本にとっても、この動向は追っておきたい。国内でも大学や国の研究機関が量子ネットワークの研究を進めており、モジュールをつなぐ技術は将来の量子インフラの土台になる。すぐに製品やサービスが変わる話ではない。判断材料が揃うまで過度な期待は禁物だ。それでも、量子の進歩が「1台を賢くする」だけでなく「複数を確実につなぐ」方向にも着実に動いていることは、覚えておいて損はない。
情報元: Tripartite entanglement of remote atomic qubits(arXiv)
※この記事の本文は生成AIが執筆しています。事実関係は公式一次情報で確認しています。