
Google が、ちょっと夢のある機能を出してきました。地図の中の「あの場所」を、そのまま歩ける別世界に作り替える、という話です。
Google DeepMind が5月19日、世界モデル「Genie(ジーニー)」を Google ストリートビューとつないだ、と発表しています。Google I/O 2026 で公開された新機能です。Genie はもともと、対話できる仮想環境をまるごと生成できる「世界モデル」と呼ばれる AI なんですね。
で、気になる中身なんですが。これまでの Genie は、ゼロから想像の世界を立ち上げていました。今回つながったのは、Google が20年近くかけて撮りためてきたストリートビューの実写画像です。
使い方はシンプル。地図のピンでアメリカ国内の場所を選び、「砂漠」「石器時代」「海の世界」「白黒フィルム」といったスタイルを選ぶ。そこに「好きな動物」「漫画のヒーロー」のようにキャラクターを言葉で指定すると、Genie がその場所を起点にした想像の世界を立ち上げてくれる。実在の通りの風景が、丸ごと別世界の入り口になるわけです。
具体例が公式から出ています。「海の世界」スタイルを選べば、ゴールデンゲートブリッジのまわりを、魚の群れと一緒に潜って泳げる。テキサスのフォートワース・ストックヤードを「白黒フィルム」にすれば、酒場やクラシックカーが並ぶ1920年代風の街として見られる、とのこと。
これ、実物の手応えとして個人的に刺さったのは、振り向いても景色が破綻しにくいところです。ぐるっと360度まわっても、AI が後ろにあった風景を覚えていて、ちゃんと再現してくれる。生成した世界が、その場かぎりで崩れないんですね。
ただ、前のめりになりすぎないように、限界もはっきり書いておきます。
Project Genie は Google Labs の実験段階のプロトタイプで、精度や細部はこれから、と公式も認めています。DeepMind の Genie 3 ページでは、以前見た細部を再訪時に思い出すことや、持続的な相互作用、物理世界のモデリングが特徴として挙げられています。ただし、これは完成した都市シミュレーターというより、研究中の世界モデルです。現実の街をそのまま正確に再現する道具、と受け取るのはまだ早いと思います。
この機能、ただの観光ごっこでは終わらなさそうです。
Genie のような世界モデルは、AIエージェントやロボットが「実世界の複雑さ」を安全に練習する場所になります。実際、Google の発表では、Genie が Waymo の超リアルな道路環境シミュレーションにも役立っている、と紹介されています。現実に近い場所を作り、その中でAIを動かす。ここは、自動運転やロボットの訓練とつながっていく部分です。
日本から見ると、ストリートビュー対応はまずアメリカ国内の場所だけで、日本の街はこれからです(Project Genie 自体は世界の Google AI Ultra=月200ドル、約3万1000円の加入者へ順次開放、18歳以上)。それでも、ロボット開発で世界に賭けている日本にとって、「現実そっくりの練習場を AI で量産できる」流れは、地続きの話になっていきます。日本の街を歩ける日が来たら、即試したいところです。
Google: Simulate real-world places with Project Genie and Street View