
DeepSeek が、また値段で殴りに来た。旗艦モデルの料金を、4分の1に固定する話。
中国の DeepSeek が、主力モデル「DeepSeek V4-Pro」の API 料金を恒久的に75%引き下げる、と発表しています。もともと5月31日で終わる予定だった割引キャンペーンを、そのまま定価にした形です。
ここがポイントで。今回は新しい値下げではない。
DeepSeek は V4-Pro と V4-Flash を1か月ほど前に出したばかり。「100万トークンを安く扱える時代」を掲げての投入だった。その時に付けた割引が期間限定だったのを、今回まるごと恒久化した。要するに、一時的なセール価格が、そのまま通常価格に化けたという話。
数字で見る。V4-Pro の料金は、100万トークンあたり0.003625〜0.87ドル(約0.6〜135円、1ドル155円換算)。値下げ前は0.0145〜3.48ドル(約2.2〜540円)だった。きっちり4分の1に落ちている。
トークンというのは、AI が文章を読み書きするときの数える単位。ざっくり言えば、日本語の文章を相応の量やり取りして、数十円から動かせる水準ということ。1日に数百万トークンを回す企業や開発者なら、月の請求額がそのまま4分の1になる。ここが効く。
狙いははっきりしている。
この価格は、OpenAI の GPT-5 や、Google が最近出した Gemini 3.5 Flash といった競合に、強い価格圧をかける水準です。AI を組み込んだサービスを作る側からすれば、性能が近いなら安いほうを選ぶ。DeepSeek はそこに賭けているように見える。正直、力技だと思う。ただ、効く。
気をつける点もある。
DeepSeek をめぐっては、過去に Anthropic が「蒸留(distillation)」——他社の高性能 AI から不正に学習する手口——を指摘して批判したことがある。各国で政府の端末からの利用を制限する動きも報じられている。日本の開発者にとって、安さは確かに効く。だが、何を扱わせるか、データをどこへ渡すかは、料金とは別の判断が要る話。
それでも、推論のコストが4分の1になれば、これまで採算に乗らなかった AI 機能が一気に現実になる。今まで「高くて見送り」だったアイデアが、計算し直すと回り始める。料金競争の第2幕は、どこまで下がるのか。値下げの体力が続くのは、はたしてどちらの陣営か。
DeepSeek API Docs: Models & Pricing
Engadget: DeepSeek permanently reduces the price of its flagship V4 model by 75 percent