🕛 2026.5.18 13:31 文:みちるガジェ

Figure AIの人型ロボが約50時間ぶっ通しで荷物を仕分け。倉庫の景色がそろっと変わってきた話

Figure AIの人型ロボが約50時間ぶっ通しで荷物を仕分け。倉庫の景色がそろっと変わってきた話
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倉庫で約 50 時間ぶっ通し、人間の遠隔操作なしで荷物を仕分け。これ、Figure AI のヒューマノイドがやった、という話です。

ちょっと待って、数字を整理させてください。Bloomberg 配信記事によると、Figure AI のヒューマノイドロボットが、荷物の仕分けを約 50 時間ノンストップで続けたとのこと。CEO の Brett Adcock は Bloomberg Television のインタビューで、テレオペ(人間の遠隔操作)は一切ない、と説明しています。

何がそんなにすごいのか

倉庫の仕分けって、地味に難しい作業です。箱の形がバラバラ、ラベルの向きもバラバラ、コンベアのどこに置くかも荷物ごとに違う。これまでのロボはどれかひとつしか得意じゃなくて、たとえばラベル読みは得意だけど箱の持ち上げ方が固定、みたいな構造でした。

Figure のロボットを動かしているのは Helix という Figure AI 独自の VLA モデル。VLA は Vision-Language-Action、視覚と言語と行動を一本のモデルでつなぐ AI のことで、「箱を見る → ラベルを読む → どこに置くか決める → 腕を動かす」を 1 個の頭で処理します。

これ、実物を見ると印象が変わるやつだと思います。Figure の公式技術記事では、物流の荷物仕分けは箱や袋のサイズ、形、硬さがばらばらで、ラベルの向きもそろえる必要があると説明されています。さらに、Helix 側にはステレオ視覚、マルチスケールの視覚表現、自己キャリブレーション、動作を速める「Sport Mode」のような改善が入っている。単なるアームの反復動作ではなく、現場のばらつきに合わせて動く方向です。

で、気になるのが「無介入」の真偽

正直、ここが一番突っ込まれているところです。

これまでヒューマノイドのデモ動画は、編集でつないだり、複数回トライした成功カットだけ並べたり、あるいは見えないところで人がコントローラを握っていたり、というのが当たり前でした。Figure AI はそこに対して、「約50時間ノンストップ、テレオペなし」と説明した。これが継続して再現できるなら、ヒューマノイドの自律性の議論は明らかに次のステージに入ります。

ただ、ライブ配信であっても、バッテリー交換・モデル切替・ソフトリブートを「介入」と数えるかどうかで、評価は揺れます。Bloomberg 本文で確認できるのは「約50時間」と「テレオペなし」というところまで。101,391個や81時間といった後続の数字は別報道では出ていますが、Figure 公式または Bloomberg 本文で同じ数字を確認できないため、ここでは採用しません。

日本のユーザー・産業への含意

日本の文脈だと、これ、物流 2024 年問題と直結する話なんですよ。トラック運転手の労働時間規制でラストワンマイルが詰まっている横で、倉庫側の人手不足も同じくらい深刻。Amazon・楽天・ヨドバシのフルフィルメント現場は、もう国内労働力だけでは絵が描けません。

ヒューマノイドが「人と同じ動線で、人と同じ速度で動ける」状態に近づくと、倉庫の設計を ロボ専用に作り直さなくていい、というのが効きます。これまでの倉庫ロボ(KIVA 系の自律搬送ロボ)は、フロアごとロボ仕様に改造する必要があった。Jim 系の人型は、既存の棚・既存のコンベア・既存の通路にそのまま投入できる前提です。

ただし価格はまだ未公表。Figure AI は 2025〜2026 にかけて GP モデルの量産を進めているフェーズで、現実的に日本の物流業者の棚に並ぶのは、早くて 2027 年後半〜2028 年あたりだろう、というのが順当な見立てです。

いまの実力と限界

仕分け 1 タスクで約50時間動いた、というのは確かに新しい。けれど 「箱を仕分ける」以外の作業に同じ精度が出るかはまだ別の話です。倉庫の中でも、ピッキング(棚から商品を取る)、梱包、検品、シール貼り、こういう「人間が当たり前にやってる小作業」は、まだヒューマノイドが苦手な領域として残っています。

それから、稼働音・消費電力・故障時のメンテ体制、このへんは Bloomberg 記事だけだと見えない数字。日本の物流現場に入れるとなると、消防法上の問題(リチウムイオン電池積載量)も検討が要ります。

だから何が変わるの?

「倉庫の中の作業員が人型ロボに置き換わる未来」が、SF っぽい話から 次の 3 年で発注書を書く話に降りてきた、というのが今回の意味だと思います。続報待ちですね。

情報元
The Star / Bloomberg — Robotics CEO Vows No Intervention in Humanoid’s Viral Trial Run(英語)
Figure AI — Helix Accelerating Real-World Logistics(英語)
Figure AI — Helix(英語)
Figure AI 公式 YouTube チャンネル(英語)

みんなの反応

長距離ドライバー
(長距離トラック運転手・50代男性)

うちらが運んだ荷物を、倉庫の中で人型ロボが仕分ける時代がもうそこまで来てると。2024年問題で運転手は減る一方なんで、倉庫側がこのスピードなら、ハブごとの中継輸送モデルも組み直しが要る。ロボの稼働時間が約50時間っていうのが、運転手の拘束時間規制との対比でしみる。
町工場のおやじ
(町工場経営者・50代男性・精密部品製造)

人型である必然性ってどこまであるんだろう。ウチみたいな町工場だと、専用治具に最適化したアームの方が圧倒的に速い。ただ、現場をロボ仕様に改修しなくていい、というのは中小には響く話。設備投資の桁が変わるからね。
D
DXおじさん
(大企業DX推進室長・50代男性)

うちの物流子会社の現場長に共有しました。「いつ買えるの」が一番の関心事。約50時間ノンストップの数字より、ライブ配信無介入の主張をどうエビデンスとして残すかが、社内稟議で問われそう。
安全第一マン
(AIセーフティ研究者・40代女性)

VLAモデル単体で長時間動かす、という主張は技術的にすごい。一方で安全側の評価は「無介入の間、誤動作の検知と停止責任は誰にあるか」が要る。倉庫内で人と協働する前提なら、機能安全規格との接合点を見ておきたい。
ろんぶん先生
(AI研究者・30代男性・大学准教授)

Helix の技術情報は公式記事で少し出ているけど、長時間ライブの再現性はまだ外部検証待ち。第三者がベンチマークタスクで同等数字を出せるか、外部評価セットが必要。学術的検証はこれからの段階。
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